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キベラ火災その後2~早川千晶さんより~

●火事から8日目、12月9日の報告・その①●
マゴソに避難している方々への緊急支援について。
この度の火事で焼け出された方々で、他に行くところがどこにもなくマゴソに火事以降寝泊りしている方々は49世帯、子どもは63名と登録しました。これはマゴソスクールの関係者、マゴソ生徒や保護者は含んでいませんので、昨日はさらにマゴソ関係者で全焼だった世帯数と人数を数えました。マゴソ生徒とマゴソOBOGでは全焼だった世帯は10世帯、生徒数は25名でした。
昨日12月9日に朝からリリアンと話し合いをしました。火災以降マゴソスクールでは毎日、朝昼晩の3食の炊き出しをして、避難されている方々に寝る場所と食事を提供していますが、給食の大鍋以外の鍋や料理関係の一式、七輪、皿、スプーン、カップ、食料などすべてマゴソでは略奪にあい、皆さんの家々は全焼でしたのですべて無くしてしまいました。そこで新たに買い出しをしていますが、壁の修復を完了するまで夜間の危険がありますので、食料は大量にはストックしておくことができず、毎日買い出ししています。
焼け出された方々の多くは、女性はシング
ルマザーで遠くの住宅街まで徒歩で行き洗濯の日雇いの仕事をしています。男性は日雇い労働者が多いです。なので皆さん毎日マゴソから仕事に出かけて行き、夜になるとマゴソに帰ってきて食事をして寝ます。その仕事の合間に、皆さんは新しく生活をやり直すための賃貸長屋を見に行きましたが、これまで住んでいた焼けた長屋は古い長屋で家賃がひと部屋月額1000シリング前後だったのに対し、いま部屋を新たに借りると月額2500シリング以下の部屋を見つけることができません。新しく入居するには、敷金1ヶ月分と家賃1ヶ月分、合計2ヶ月分が必要になります。そのようなお金は到底用意はできないと、皆さん打ちのめされて帰ってきました。
そこでリリアンと話し合いをしたのですが、いずれにしてもマゴソスクールでは1月から新学期がはじまり、すべての教室は本来の授業を行うために皆さんには開けていただかなくてはなりませんので、あと3週間以内に皆さんには新生活をはじめていただかなくてはなりません。そしますと、マゴソスクールでの炊き出しの負担を考えるとそれは少しでも早いほうが良く、大きなお金がかかって大変ではありますが、皆さんに新生活をはじめていただくための緊急支援を行うことに決めました。
49世帯に対し、まずは新しい部屋を借りるための敷金1ヶ月分+家賃1ヶ月分の5000シリングを提供、そして、マットレスひとつと毛布1枚を配布。それでとにかく皆さんには新生活をはじめてもらうことにしました。
毛布は先日皆様から提供していただいいた毛布がありましたので、とりあえずそれを使い、マットレスは1600シリングのものを49枚購入しました。
これで合計、323,400ケニアシリング(約46万2千円)の緊急支援を49世帯に対して行い、今日から部屋探しをしてもらい、決まった順にマゴソスクールから引越ししていただくこととなりました。それまで炊き出しは続けていきます。
この46万2千円の緊急支援資金を、ご協力くださいます方がいらっしゃいましたら、ゆうちょ銀行のマイシャ・ヤ・ラハ基金の口座を通じて受け取ることができます。また、ケニア在住の方でしたらM-Pesaもしくは現金で受け取ることができると幸いです。
このあとマゴソスクールの修復についての概算をお知らせしますが、お金がかかることばかりになってしまい、しかも、マゴソスクールのことだけではなくキベラスラムの近所の貧困者たちの火災被害までもご協力をお願いすることになってしまい、非常に心苦しく、申し訳ない気持ちでいっぱいなのですが、ご無理のない範囲でご協力いただけるようだと大変助かります。どうかよろしくお願いいたします。
先日訪問してくださった方々が、マゴソスクールというのはまさに、キベラスラムの中で砂漠のオアシスのような場所だね、と言ってくださったのですが、その通りで、今回避難されている方々も、口々に、もしマゴソスクールが無かったら我々は寒空に放り出されていまも雨の中外で寝なければならなかっただろうと言って感謝してくれています。マゴソスクールは通常も、スラムのコミュニティの方々と様々な形で協力体制を作ってこそ、子どもたちの救済を行うことができています。ですから、困ったときはお互い様、ということで、この緊急事態にもできる限りの手助けをスラムのコミュニティに対して行っていきたいと思います。募金をいただけますようですと大変ありがたいです。

マイシャ・ヤ・ラハ基金にお振込みいただいた支援金は、取りまとめて、火災被害への緊急支援として使わせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
また、ナイロビ在住の方々は、もしご自宅に不要な古着、タオル、古靴、マットレス、毛布、シーツ、鍋、皿、スプーン、カップ、などがございますようでしたら、ご連絡いただけましたら取りに伺います。
また、マゴソ図書室の書籍はすべて燃えてしまいましたので、これからまたゼロから図書室の再建をはじめます。子供向け、大人向け、絵本でも読み物でもなんでもかまいません。英語もしくはスワヒリ語の書籍がありましたら、ご提供いただけるようですと大変ありがたいです。どうぞよろしくお願いいたします。

●火事から8日目、12月9日の報告・その②●

取り急ぎ避難者への対応についてはその①で書きました。

さて次にマゴソスクールの焼け落ちた部分と今後の対策をどうするかということについてです。昨日リリアンと話し合いました。
結論から言いますと、マゴソスクールをぐるっと囲む石ブロックの塀を作るのが一番安全だろうということになりました。というのはスラムの住居は、土壁、トタン、ベニヤで囲っているだけの簡易住居で、押せば倒れる、すぐに破れたり崩したり焼けたりしてしまう粗末なものです。なので火事になるとすぐに火は燃え移るし、火事場ドロボウは簡単に壁を崩して入り放題になってしまいます。
今回の火災では、マゴソスクールが盾になって近隣に火が広がるのを防ぐことができ、本来ならもっと広い範囲に火が回っていただろうと思います。ですがマゴソスクールは一部は鉄の扉が付けられており、今年建設した新校舎は石造りにしています。焼け落ちた壁面も、鉄の扉と窓枠は焼け残っていました。また、石造りの校舎は完全に無事でした。
スラムの夜間の治安は最悪なので、焼け落ちた壁
面を早く修復しなければならないのですが、また簡易住居的な壁を作るのではなく、この機会に、石造りのブロック塀でマゴソを囲み、その塀に添うようにできるだけ頑丈な壁を作れば、今後の火災対策と、盗難対策になります。
今回の火災の際も、マゴソの壁は火で燃えただけではなく、群衆によって壊されてそこから入った人びとによって大幅に強奪されていました。というかここが微妙なのですが、壁を壊して助けに入ってきた人たちもたくさんいたんです。ですがそこに便乗してドロボウも入ってきて、あたり一面、火と煙の大混乱の中、ドロボウたちはマゴソの中の壁を次々と壊し、盗んだ荷物を取り出すための壁も壊し、リリアンの住居、マゴソショップなど、金目のものがある場所をめがけて突進していき、次々と盗んで穴から外へ投げていったとのことです。
ところで余談なのですが、今年の春のポレポレツアーで隠岐の知夫里島の子どもたちとマゴソの子どもたちがスカイプで話すという試みをやったのですが、その際にリリアンに私のお下がりのノート型パソコンをあげていました。このパソコンも盗まれたとあきらめていたのですが、なんと、翌日、届けてくれた人がいました!なんと、ドロボウたちが壁にあけた穴からどんどんリリアンの家の荷物を盗んで放り出していったとき、マゴソOBOGで高校3年生のノラちゃんが、その穴の下でリリアンのパソコンをキャッチし、これはリリアンの大切なものだからと、それを抱えて走って逃げて、翌日それを届けてくれたということでした。その話を聞いて涙出そうになりました。他にも、あの混乱の中、マゴソの大切なものを救い出して守ってくれた人たちがいました。だから、盗っ人もいるけど心ある人もいるんです。
そういうわけで、この火災を機に、マゴソをもっと安全な場所にするべく、壁の修復と補強をして、さらに、石のブロックでマゴソ全体をぐるっと取り囲める塀を作りたいとリリアンは言っています。私もそれがいいと思います。
それと、マゴソには普段から消火器があるのですが、今回のような火事にはまったく役に立ちませんでした。水タンクの位置を、マゴソ全体がもっと見晴らしよくできる位置に移動させたり、それ以外にも水場を要所要所に作っていくのも大事だと思いました。
石のブロック塀があれば、火事が容易に燃え移ることを防げるし、近隣に広がるのを抑える役割も果たせます。そして暴動など万が一の事態のときにも、強固な壁があれば、多くの人命を救える場所になるだろうと思います。
また、そもそもが治安が悪いせいで、夜間などいつも危険に直面しながらの暮らしですから、その暮らしにはストレスがいっぱいです。少しでも安心して中にいられる場所になれば、まさに砂漠のオアシスとなるでしょう。
というわけで、まずはこの焼け落ちた壁面を、最初に石のブロック塀を作っていこうと、昨日から手配をはじめました。最初まず100万円で、できるところまでやってみて、そのあとまたどのくらい必要なのかわかってくると思うのですが、マゴソの敷地をぐるっと石塀で囲むのは、かなり広いのでリリアンが概算するところによると450万円くらいかかるのではないかと言っています。
そこまではすぐにはできないでしょうが、とりあえずリリアンたちが安心して夜を過ごせるように、焼け落ちた壁と暴徒に壊された壁を大至急修復していきます。
リリアンはいまはまだ食欲もなく、夜もぐっすり眠れていないようですが、だいぶ元気になってきました。やはり皆さんからの励ましによって、また立ち上がる勇気をもらえたようです。心より感謝申し上げます。
これから長丁場になるなというかんじなのですが、できることからはじめていきたいと思います。子どもたちの命を守るため、そして、スラムの貧しい人々が少しでもより良い人生を生きることができるように、やはり暮らしは毎日毎日の繰り返しですから、このスラムがこのまま劣悪環境で生活せねばならない場所ではなく、もっとみんなで安心して暮らせる場所にしていけるよう、力を合わせていければと思っています。皆様これからもどうぞよろしくお願いします。
ご協力本当にありがとうございます。

早川千晶

①ゆうちょ銀行 記号10070 番号17463211 名義マイシャヤラハキキン
■ネットバンキング振込情報
口座名義:マイシヤヤラハキキン 口座番号:普通1746321 銀行名:ゆうちょ銀行
金融機関コード:9900 記号:10070 店番:008
店名:〇〇八 店(ゼロゼロハチ店)
②M-pesa Chiaki Hayakawa 0722-718291
ありがとうございます。ご協力に心より感謝申し上げます。早川千晶

*この写真は、ドロボウが物品を放り投げていった穴をすぐに古いトタンで塞いだ場所をリリアンが見せてくれているところです。

 

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