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写真家 船尾修の「フィリピン残留日本人」プロジェクト

早川千晶さんからの紹介で、昨年ジャクソンの講演を大分で開催してくださった
写真家の船尾修さん。
アフリカの取材もたくさんされていますが、このたび、写真集「フィリピン残留
日本人」の出版に向けて、クラウドファンディングに取り組んでいらっ しゃい
ます。
知られざる歴史を知るとても貴重な写真集の出版にご賛同頂けると幸いです。
以下、この取り組みについての船尾さんからのメッセージです。

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この秋に「フィリピン残留日本人」というタイトルの写真集を出版することにな
りました。
内容をかいつまんで説明しますと、フィリピンには戦前からたくさんの日本人
が暮らしていたのですが、第二次世界大戦の勃発によって彼らの平和な 暮らし
は根底から狂わされてしまいました。なぜなら当時のフィリピンはアメリカの植
民地で、日本はそのアメリカと戦っていたからです。

その結果、子孫である日系人たちも命を狙われたりするようになり、戦争末期に
は追い詰められた日本軍とともに逃避行の挙句、餓死したり殺害された りする
人が続出しました。
戦後も、日本人の血を引いているという理由だけで命を狙われたり差別された
りしたため、日系2世の多くは日本名を捨て、日本語を話さず、山村で 隠れる
ようにひっそりと生きてきました。

本来なら日本国籍を有する彼らですが、多くは国籍も失ったまま。日本政府も救
済に消極的で、そのような人たちは現在でも数千人がフィリピンで暮ら してい
ると言われています。

私はふとしたきっかけで彼らのことを知ることになり、実際に会って話を聞いて
衝撃を受け、「これは誰かがきちんと話を聞いて後世に残さなければい けな
い」と思いました。そしてそれは写真家である私の使命かもしれないとも。

日本では本が売れなくなっていることもあり、特に写真集は重くてかさばり、単
価も高く(コストも高くなる)、書店でも場所をとるからという理由で 敬遠さ
れる傾向にあり、それがまして社会派のドキュメンタリー作品ともなれば、出版
は非常に厳しい状況が続いています。
幸いにして引き受けてくださる出版社は見つかりましたが、ある部数は自分自
身で引き受けて販売しなくてはならず、どうしようかと考えていた時に クラウ
ドファンディングという仕組みを知りました。

あまり聞きなれない言葉ですので補足説明させていただくと、CROWD FUNDING つ
まり「民衆個人による基金」とでも訳せますか、個人ひとりひとりが自分が共感
するプロジェクトや作品に少額出資して支援する仕組みです。

社会貢献事業(NGOなど)やアーティストが作品を制作する際、必ず付いて回る
のが資金の問題です。
かつては企業の協賛や、行政の補助を得たりしてこれに当てていましたが、昨今
の経済状況の悪化や時間がかかりすぎることなどから、最近ではこのク ラウド
ファンディングという仕組みが着目されつつあります。
もともと欧米で広がった仕組みですが、昨年日本にも上陸し、現在では10社以上
の運営会社が存在します。

前置きが長くなりましたが、今回の私の写真集出版はこのクラウドファンディン
グの仕組みを利用することになりました。
ただ単に寄付などを募るわけではなく、あくまでも私の作品や作品作りの姿勢に
共感してくださった方から少額の出資(3000円から)を支援してい ただき、無
事に本が出版された暁には写真集やオリジナルプリントなどをプレゼントさせて
いただくつもりです。
今回はREADYFOR?というクラウドファンディングの運営会社の審査をパスしま
して、ウエブ上の私のプロジェクトのページに、写真集制作出 版については詳
細を掲載しています。
よろしければぜひ一度このページに目を通していただき、ご支援を一考していた
だき、また同時にフェイスブックやブログ等でシェアしたりご紹介して いただ
いて広めていただけたらなと思います。

READYFOR? のページ
https://readyfor.jp/projects/philippine-japanese

ずいぶん唐突で勝手なメールとなってしまいましたが、ご支援のほど、よろしく
お願い申し上げます。
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写真家 船尾修 ( photographer Osamu Funao)
WEB: http://www.funaoosamu.com/

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コンプレックス?

夫ジャクソンは恐らく現在40歳くらい。
都市部ではこのくらいの年代で字が読めない、書けない人はほとんどいない。
マサイは・・・、特にうちの地域のマサイは、となると、ジャクソンの世代では
半数近くが学校に行かなかったので、文字がわからない。
このような話をお客さんにすると、ある人がこう言った。

「ジャクソンさんはそれを、学歴が無いことが、コンプレックスでは無いんです
か?」と。
もっとずっと年配の方だが、その方の知り合いの日本のある男性は学歴が低いこ
とを常にコンプレックスに感じていて、他人が自分を笑っ ているのではない
か・・という妄想も常に持っていたから・・・、とのこと。

あ〜、確かに文字がわからないというのは、
ナイロビのような大都会だとジャクソンも苦労する場面が多いだろう。
だが、村の暮らし、マサイ的な暮らしでは文字が書けても実力発揮する場面は少
ない。
そんなことより、薬草の知恵や野生動物のこと、牧畜に関すること、コミュニ
ティーとの関わり方、など生きていくために必要なことは山 ほどある。
そっちが出来ないとマサイの伝統社会では、生きていけない。
かと言って、都会へ行って高い学問をおさめたが故に、牧畜に関するレベルが多
少低いからと言って、別に小バカにされるという感じでも ない。

彼らは非常にクールに、人それぞれの役割の違いを心得ている。
人それぞれに与えられた役割を淡々とこなせば良いのだ。
字が読めなくても他に秀でたものがあるはずだし、身体的に優れなくても頭脳を
活かせるかも知れないし、皆それぞれ違うわけで・・・、 てな感じ。

鼻息荒く、拳をあげてそれを訴えているわけではなく、非常に当たり前にクール
に身に付いている。

ジャクソンにこのことを話すと、
「そうなんだよ〜っ!人間はね・・・」な〜んて、熱く語るわけでもなく、そん
な当たり前のことをいちいち分析している私に対して、い つものように
「ふっ」と乾いた笑いが返って来るだけであった・・・。

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