ジャクソンは忙しい。
同世代の戦士仲間でも、地域に出来た新しいロッジの警備員として仕事に就く人
もいる。字が読めなくても学歴無くても、警備員の仕事はマサ イの元戦士に
とっては訓練の必要もなく重宝がられる。
しかし、そのような仕事もジャクソンが定職に就くことは難しい。
それはジャクソンには金にはならない地域の役割がとても多いからなのだ。…
いろんな代表に選ばれる(自ら手を挙げることも多い)ので、就職は無理。
地域の政治家予備軍的な役割なのでミーティングは頻繁だし、地域の長老からの
呼び出しや若者からの相談を受けたり、村の学校の運営委員の仕事、地域の婦人
会からも頼りにされている。
その上最近忙しいのは、近くにあるニャクエリの森保護活動のメンバーにもなっ
ているので、WWFからの勉強会にも参加をしている。
WWFがお金を出してメンバーたちにセミナーを受講させてくれる。そこで勉強し
たことをメンバーが地域の人に説いてまわるのだ。
そこでいつも疑問に思うことがある。
セミナー受講するのに黒板は読めないし、ノートを録ることも出来ないジャクソ
ンはどうやってセミナーを受けてるの??
ジャクソンが言うには
受講者の半数は文盲なので先生も考慮しながらトーク中心でやるそうな。
それでも不思議なのがノートに記録しなくて、よくも地域の人に説明が出来るよ
な〜。
「セミナーで聞いたことは絶対に忘れない。全部理解して頭に入ってるから覚え
るのなんて簡単」
だそうです。
私達は最初からメモすることに頼りきっているので、記憶する力が退化している
ようです。
記録する術を持たないジャクソンたちは、記憶する力が発達している模様。
その代わり彼らの生活に重要ではないことは全く記憶しようともしない。
例えば生年月日とかしよーもない結婚記念日とかね。
そして、どこに物を置いたとかもすぐ忘れるなー。それはただのボケかもしれん
けど。
そんなわけで、お忙しいジャクソン先生は金にならない名誉職を本日も全うする
のであったー。